骨太方針2017、未来投資戦略2017の閣議決定で見解 日本医師会

日本医師会は、6月9日、「経済財政運営と改革の基本方針2017」(いわゆる「骨太の方針2017」)、「未来投資戦略2017」が閣議決定されたことを受けて見解を表明しました。

「現在、わが国では厳しい財政状況を是正するために、「骨太の方針」などに基づいた予算編成が行われていますが、憲法に基づき、国民が必要とする医療・介護を中心とした社会保障について、国はしっかりと適切な財源を確保すべきです」として、次の通り表明しています。

まず、「骨太の方針2017」についてですが、第1に、6月2日に示された素案では、いわゆる参照価格制度の記述がありました。いわゆる参照価格制度の導入につきましては、医療保険部会や中医協をはじめとする関係審議会で慎重に議論を行う必要があり、併せて政府の成長戦略も勘案することが重要であることから、自由民主党厚生労働部会をはじめとする自民党内の良識ある判断等によって最終的に削除されたことは、高く評価したいと思います。日本医師会は、今後もこうした提言がなされることがないよう、強く求めてまいります。

第2に、素案では「看護師の行う特定行為の範囲の拡大などタスクシフティング、タスクシェアリングを推進する」とありましたが、この点についても、自民党内の良識ある判断等によって、最終的には「看護師の行う特定行為の範囲の拡大など十分な議論を行った上で、タスクシフティング(業務の移管)、タスクシェアリング(業務の共同化)を推進する」と、「十分な議論を行った上で」が加筆されました。看護師の行う特定行為の範囲の拡大などについては、医療安全や医療の質の向上の視点に立ち十分かつ慎重に議論することが必要と考えます。

第3に、今回の「骨太の方針2017」に記載はありませんが、経済財政諮問会議における議論では、民間議員から「かかりつけ医の普及が課題となっており、総合診療専門医との関係も含め定義を明確にしていく必要がある」という資料提出もあったようですが、日本医師会ではかかりつけ医を「何でも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」と定義しています。日本医師会は、わが国の特徴であるフリーアクセスは守りつつ、大病院と中小病院・診療所の外来機能の分化・連携の推進について引き続き検討を進めるとともに、かかりつけ医機能の評価を高め、さらなる普及と定着を図ってまいります。

第4に、「健康増進の観点から受動喫煙対策を徹底する」とされました。現在、日本医師会は、非喫煙者、特に働く若い人を受動喫煙による健康被害から完全に守るために、「国民の健康を守る専門家集団」として、国民の健康を第一に考え、例外既定や特例を設けることなく受動喫煙の防止対策を強化・実現するための署名活動を行っており、受動喫煙の防止に向けた活動をさらに進めてまいります。

今回、「未来投資戦略2017」も閣議決定されましたが、未来投資会議に出席し、日本医師会の考え方を度々ご説明するとともに、未来投資会議の下に設置された構造改革徹底推進会合における議論では、日本医師会から今村聡副会長、石川・鈴木両常務理事も出席し、会議の場で積極的に意見を述べてまいりました。

「未来投資戦略2017」等において、遠隔診療について触れられています。診療は対面が原則であり、遠隔診療はあくまでも補完的な役割であることから、初回は必ず対面診療とすべきです。長期処方の問題として、患者が自己判断で服薬を中止したなどして容態の変化に気づくのが遅れたことや、薬剤による健康障害などのケースもあり、その問題解決として、かかりつけ医がICTを活用して経過観察や指導を行う遠隔診療は有効です。診療報酬上の評価については、現在、「電話・テレビ画像等による再診」が認められており、その評価を参考にし、中医協で議論すべきです。

その際、遠隔診療充実のための財源は、財政中立ではなく、政府の成長戦略として別途手当てが必要です。

今後は今回の閣議決定を受けて、各省庁で概算要求要望に向けた議論が本格化しますが、「国民の安全な医療に資する政策か」「公的医療保険による国民皆保険は堅持できる政策か」という判断基準の下に、日本医師会としての考えを毅然として主張し、国民が必要とする医療を安心して受けられるよう、最善を尽くしてまいります。

 

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第1回薬剤耐性(AMR)対策普及啓発活動表彰発表 厚生労働省

厚生労働省は、6月7日、「第1回薬剤耐性(AMR)対策普及啓発活動表彰~優良事例の表彰決定および表彰式の実施~」を発表しました。本件は、内閣官房、文部科学省及び農林水産省でも発表しています。

「薬剤耐性(AMR)対策普及啓発活動表彰」は、薬剤耐性(AMR)対策の普及啓発活動を広く募集し、優良事例を表彰することで、対策に係る自発的な活動を喚起奨励すること等により、対策の全国的な広がりを促進することを目的としています。

本年2月1日から28日までに合計74件の応募があり、これらの中から、「薬剤耐性対策推進国民啓発会議議長賞」、「厚生労働大臣賞」、「文部科学大臣賞」、「農林水産大臣賞」及び「「薬剤耐性へらそう!」応援大使賞」の5つの賞について表彰対象を決定しました。

表彰式は、6月26日15:00~17:00に日本科学未来館(東京都江東区)で行われます。

■薬剤耐性対策推進国民啓発会議議長賞

〇感染制御ネットワークによる地域医療圏の耐性菌を減らすための多面的アプローチ:青森県感染症対策協議会(AICON)

〇学生による抗菌薬啓発キャラバン:Smile Future JAPAN

■厚生労働大臣賞

〇卒後初期の感染症診療・教育における抗菌薬適正使用の実践・啓発の10年に及ぶ取り組み:佐賀医科大学医学部附属病院感染制御部

〇抗菌薬適正使用普及のためのグラム染色検査の実施とその結果を患者教育に生かす取り組み:まえだ耳鼻咽喉科クリニック

■文部科学大臣賞

〇ソシアルネットワークで取り組む感染症危機管理活動:東北大学大学院医学系研究科総合感染症学分野

〇世界へはばたく「未来の創造者」の育成:兵庫県立兵庫高等学校

■農林水産大臣賞

〇動物用抗菌剤研究会における薬剤耐性対策の普及啓発活動の取り組み:動物用抗菌剤研究会

〇養豚における抗菌剤の適正使用および低減に向けた取り組み:一般社団法人日本養豚開業獣医師会

■「薬剤耐性へらそう!」応援大使賞

〇SATによる抗菌薬適正使用の推進と耐性菌抑制:静岡県立こども病院Shizuoka Antimicrobial Team(SAT)

〇薬剤耐性菌を制御する新規の科学的方策の研究と教育啓発活動の統合的な取り組み:新潟大学大学院医歯学総合研究科微生物感染症学分野教授寺尾豊

〇一般の方及び医療従事者向けAMR啓発活動:日本ベクトン・ディッキンソン株式会社

〇疫学調査に基づく伴侶動物病院におけるMRSAの低減化対策の実施:さっぽろ獣医師会

 

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000167304.html

第6回赤ひげ大賞実施を決定 日本医師会

日本医師会は、第6回「日本医師会赤ひげ大賞」の実施を決定、5月16日に発表しました。

本賞は、地域の医療現場で長年にわたり、健康を中心に地域住民の生活を支えている医師にスポットを当て、その活躍を顕彰することで、各地の医療環境委整備、医療活動の充実に寄与することを目的として創設しました。

主催は日本医師会と産経新聞社で、受賞者は産経新聞並びにBSフジの特別番組で紹介する予定です。

対象者は、「病を診るだけではなく、地域に根付き、その地域のかかりつけ医として、生命の誕生から看取りまで、様々な場面で住民の疾病予防や健康の保持増進に努めている医師で、日本医師会会員あるいは都道府県医師会会員で現役の医師(現職の日本医師会・都道府県医師会役員は除く)です。各都道府県医師会長が推薦します。

候補者の中から、選考委員会において受賞者5名を決定し表彰を行います。受賞者には賞状と記念品及び副賞100万円を贈呈します。

 

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受動喫煙防止対策強化・実現のための署名を展開 日本医師会

日本医師会は、5月10日、「受動喫煙の防止対策を強化・実現するための署名」の展開を発表しました。

横倉義武会長名で出された趣意書は次の通りです。

 

2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会の開催にあたり、国際オリンピック委員会(IOC)から「たばこのないオリンピック」の実現が求められています。わが国は世界に向け、たばこ対策に抜本的に取り組む姿勢を示す必要があります。

なかでも、わが国の受動喫煙による健康被害への対策は、世界保健機関(WHO)から「世界最低レベル」に分類されており、少なくとも年間1万5千人が受動喫煙を受けなければ、がん等で死亡せずに済んだと推計されています。

このような状況を考えれば、屋内における喫煙は単なるマナー嗜好の問題ではなく、国民の健康被害の問題として捉えなければなりません。

非喫煙者、とくに働く若い人を受動喫煙による健康被害から完全に守るためには、日本全体で屋内100%全面禁煙とする国際水準の受動喫煙防止法や条例の制定が不可欠であります。

われわれ医師会は、「国民の健康を守る専門家集団」として、国民の健康を第一に考え、例外規定や特例を設けることなく受動喫煙の防止対策を強化・実現するための署名活動を行うことといたしました。

国民の皆様にも広くこの活動の趣旨をご理解いただき、ひとりでも多くの方にご署名賜り、国への働きかけの力とさせていただきたいと存じます。

 

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がん患者と家族に対する緩和ケア提供の現況調査結果を公表 厚生労働省

厚生労働省は、4月25日、「がん患者と家族に対する緩和ケア提供の現況に関する調査」の結果を公表しました。

終末期に限らず、がんなどと診断された時から患者と家族のあらゆる苦痛を和らげ、生活の質を向上させるための「緩和ケア」を提供する病院について、調査結果を取りまとめたものです。

今回の調査は、効果的な取り組みを自治体や医療機関などに情報提供することを目的に、「地域がん診療連携拠点病院」の中で、緩和ケアを提供する体制に工夫がされている5つの病院を対象として実施したものです。

地域がん診療連携拠点病院は、二次医療圏内において、全国で等しく専門的な質の高いがん医療を提供するため、がん診療の連携体制構築や患者と家族の相談支援を実施、がんの診療体制や診療実績などの要件に基づき、全国で348の病院(平成29年4月1日現在)が指定されています。

今回対象となった5つの病院は、日本海総合病院(山形県酒田市)、川崎市立井田病院(神奈川県川崎市)、聖隷三方原病院(静岡県浜松市)、市立豊中病院(大阪府豊中市)、松江市立病院(島根県松江市)です。

【調査結果のポイント】

1. 患者の各状況(診断・通院・入院・退院・在宅療養時)に応じた支援体制を構築

・「がん看護外来」-告知を受けた早期から専門知識を持つ看護師が相談対応

・「緩和ケア外来」-化学療法など積極的治療の段階から痛みを緩和

・「緩和ケアチーム」-患者と家族の心身の苦痛に多職種が対応

・「緩和ケア病棟」-患者が自分らしく過ごせるよう環境に配慮

・「在宅ケア体制」-退院後に在宅で療養する患者を緩和ケア医師が訪問診療

2.「がん相談支援センター」において各種の取り組みを実施

治療・療養、経済面、就労などに関する患者と家族の悩みに相談員が無料で対応

・「がんサロン」「患者会」-がんの患者と家族が情報交換し気持ちを共有

・「アピアランスケア」-がんの治療に伴う外見の変化への悩みに対応

厚生労働省では、今回の報告書は事務連絡やホームページへの掲載を行い、がん対策を推進する自治体や医療関係者などへ情報提供します。また、こうした情報提供を通じて、緩和ケアが「よりよく生きるひとつの方法」との理解が国民に広まることを期待しています。

 

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000162621.html