日本医師会は、9月3日の定例記者会見で「一般用検査薬についての見解」を発表しました。
日本医師会では、現在の一般用検査薬の考え方や、厚生労働科学研究「一般用医薬品の地域医療における役割と国際動向に関する研究」「一般用医薬品及び一般用検査薬の地域医療における役割等に関する研究」を示すとともに、医師を対象とした一般用検査薬に対する意識調査結果から、主な意見を紹介し、
「まとめと考察」として、
○尿を採取する方法については比較的安全性が高いと考えられている。検体採取方法として、自分で指先から血液を採取する方法は、最も安全性が低いと考えられている。
○尿鮮血は、一般用検査薬にしても良いという意見が比較的多く、かつ検体採取方法の安全性が比較的高いと考えられている。ただし、あくまで他の方法との相対比較であり、全体の中では少数派である。
○血糖値については現在でも自費で事故血糖測定を実施している場合があるが、記録として受診する、針を適切に廃棄する、など医師の指導の下で行われている。よって血糖値を「今後一般用検査薬にしても良いと考えるもの」と回答している場合は、一般用検査薬に対して医師の指導の下で使用するもの、という意識が働いている可能性がある。
○偽陰性の場合に受診の機会が遅れる恐れがある。
○医療費削減を期待するような意見もあったが、一般用医薬品及び一般用検査薬が医療費削減や国民の健康増進にどれだけ寄与しているかについてのエビデンスはない。
○病気の早期発見・早期受診を期待して一般用検査薬の活用に前向きな意見もあったが、国民の自己責任の覚悟が必要であるという意見や、医師の管理の下で使用するべきという意見があった。
○一般用検査薬の拡大によって、病気の早期発見につながるという意見があった。しかし、一般用検査薬の拡大によって、医療機関への受診アクセスが阻害される懸念もある。
と紹介しています。
そして、次の通り明らかにしています。
<セルフケアにおける検査の考え方>
・以下の条件に該当する場合は、かかりつけ医を受診する
① 採取に当たって侵襲のある検体を用いる
② 検体採取器具を用いる
③ 判定に機械器具を用いる
④ 定量により判定する
・健診・検診の推進
<一般用検査薬のあり方>
① セルフケアとセルフメディケーションの定義を明確にすべき⇒専門家の関与には医師も含まれる
② 国民の健康と安全を守るのは医師の責務
③ 診断と治療は医師の業務
④ 世界一アクセスの良いわが国のメリットを活かすべき
⑤ 既存の健診体制を活用すべき⇒1に運動、2に食事、しっかり禁煙、最後にくすり
⑥ 医療は非営利⇒営利企業も営利的行動を慎むべき
⑦ 国民に不安や混乱をもたらさないよう、セルフケアから医療への道筋を明確にするべき
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