日本医師会は、12月17日の定例記者会見で、「2014年度診療報酬改定に係る診療所調査結果-かかりつけ医機能と在宅医療を中心に」(概要版)を公表しました。
アンケート調査は、日本医師会会員のうち、診療所開設者及び管理者から無作為に20分の1抽出した3,413人(うち不達3件)を対象として、かかりつけ医、処方の状況、在宅医療等を調査、1,519人から回答がありました。回答率は44.5%でした。
<かかりつけ医およびかかりつけ医機能>
かかりつけ医にとって、あるいはかかりつけ医機能として、特に重要と思われる項目は、多い順に「受診勧奨や健康状態の管理」「主治医意見書の作成」「健康相談」である。
実施することが負担あるいは困難な項目は、多い順に「常勤筋医師3人以上在籍」「在宅患者への24時間の対応」である。これは診療報酬の要件の一つになっており、現場の負担になっている。
かかりつけ医(機能)として何を重要と考えるかは、診療科によって異なる。
・内科や外科では、「主治医意見書の作成」が多く、介護保険との関わりが重要であることがうかがえる。
・小児科や精神科では「健康相談」を重視している。
・内科以外の診療科、特に産科・産婦人科、耳鼻咽喉科、眼科では「患者が受診しているすべての医療機関の把握」が重視されている。
かかりつけ医機能はすべての患者に対して必要なもののほか、患者特性(小児・高齢者、急性期・慢性期など)によって個別に必要なものがあることがうかがえる。
<処方の状況(院内・院外処方)>
「院内処方」「院内処方で一部院外」をあわせて、院内処方の診療所の割合は全体で37.5%である。産婦人科系では6割超、内科及び外科で4割強である。
現在院内処方の診療所の中には、「今後どうするか未定」「無回答」が4割近くある。今回創設された地域包括診療料・加算は、院内処方を原則としており、これらの診療所が院内処方を継続するかどうかが注目される。
院内処方のメリットとしては、「患者の移動の負担がない」が最も多く、全体で75.4%である。
院外処方のメリットとして最も多いのは、「医療機関で在庫管理の手間・コストがかからない」で、77.8%である。
<処方の状況(長期処方)>
比較的症状が安定していて定期的に通院している患者(生活習慣病、甲状腺機能低下症、更年期障害など)に対して、約5週以上は合計24.3%であった。「2101年長期蘇峰調査」と比べ、今回の調査では生活習慣病等の患者に対して、約8週の処方の増加が見られた。
比較的長期の処方をしている背景は、「病状が安定しているから」が最も多く76.2%、次いで「患者からの要望」が67.6%であった。高齢化が進んでいることもあり、全体的に生活習慣病等で長期継続して通院している患者が増えてきているのではないかと推察される。
比較的長期の処方が原因であると考えられる事例に遭遇した内容として、「患者が薬をなくしてしまい、次回予約よりも前に再診に来たことがある」は37.3%であった。次いで「患者が、服薬を忘れたり、中断したりしたため、病状が改善しなかったことがある」が35.7%であり、診療所医師の約3分の1が、長期処方により病状が改善しなかったという事例を体験していた。
<処方の状況(後発医薬品)>
後発医薬品については、診療所医師の半数以上が、品質、効果に問題があると感じている。一方、最近では、後発医薬品の製品数も増えていて、供給面の課題は改善されているようである。
<在宅医療>
内科、外科では、訪問診療を行う診療所が5割を超えている。また、内科、外科ともに外来のみの診療所は約3割であった。内科・外科以外も在宅医療に取り組んでいる診療科は多い。
在宅医療を行う上で特に大変であると感じているのは、多い順に「緊急時の対応」(75.4%)、「自身の体力」(52.9%)、「在宅での看取り」(40.4%)、「緊急時入院できる病床の確保」(35.7%)である。
今後の在宅医療への取り組みとして、「今後はさらに増やしたい」(今後拡大)が4.5%、「今後もこれまで通り続けたい」(今後継続)が23.8%であった。一方、現在、在宅医療を行っているが、「今後は減らしたい」(今後減少)が6.1%、「今後はやめたい」(今後中止)が3.0%であった。
http://www.med.or.jp/