医師国家試験改善検討部会報告書を公表 厚生労働省

厚生労働省は、3月30日、医師国家試験改善検討部会報告書を公表しました。

厚生労働省では、平成26年6月より、医道審議会医師分科会医師国家試験改善検討部会において、医師国家試験の評価と改善について協議が行われてきました。

今般、当部会において、これまでの様々な議論を踏まえ、報告書を取りまとめました。

報告書は、具体的な事項について、「医師国家試験」「OSCE」「コンピュータ製の導入及びプール問題等」「外国で医師免許を得た者に対する医師国家試験受験資格認定」についてまとめています。

平成26年6月に設置された医道審議会医師分科会医師国家試験改善検討部会において、現行の医師国家試験に関する評価と改善事項の検討を開始。以後、臨床現場からのヒヤリング及びワーキンググループでの議論を含めて8回にわたり検討を重ねた結果、今般、医師国家試験の改善に関する基本的な方向性等についての意見を取りまとめたため報告するものです。

今後の方向性としては、単に知識を問う問題ではなく、症候から優先順位を考慮しつつ鑑別診断や治療方針の選択を進めていくという臨床医の思考過程に沿った、臨床的な応用力を問う問題を出題するため、出題傾向として「臨床実地問題」に、より重点を置くこと、この見直しについては、平成27年度より全ての医学部において、共用試験CBTの合格基準が統一化され、それに合格した者が医学部を卒業することにより、医学生の基本的な知識が担保されることを前提として、「一般問題」の出題数や合格基準の見直し等を行うこと、共用試験CBTの合格基準の統一化により基本的な知識が担保された医学生が医師国家試験を受験する第112回(平成30年)から適用することが適当であることを指摘しています。

医師国家試験の出題数については、医師としての基本的姿勢を含めた基本的診療能力を問う「必修問題」は現状通りとし、「医学総論」及び「医学各論」から「一般問題」として100題程度、医師国家試験の信頼性を損なうことなく、減らすことが可能、「臨床実地問題」の出題数については、より臨床の思考過程に重点を置きつつ、臨床実習の経験に即した出題傾向とするためには現状維持が適当、としています。

出題内容に関しては、「臨床実地問題」については、医学生が特に臨床実習に主体的に取り組んだ結果を評価できるよう、「列挙された特徴的なキーワードから疾患名を想起させるものではなく、症候から優先順位を考慮しつつ鑑別診断を進めていくという臨床医としての思考過程に沿った問題」を重視して出題すべき、「一般問題」については、臨床実地問題」としての出題が困難である範囲や繰り返し出題すべき重要な範囲を中心としたものとし、それ以外は「臨床実地問題」で出題すべき、とし、このような見直しにより、「一般問題」の出題数が減少しても、これまでの医師国家試験として問うべき水準は維持される、としています。

合格基準については、現行の医師国家試験では、「必修問題」の合格基準は絶対基準を用いて80%以上の得点とされ、「必修問題」以外の「一般問題」及び「臨床実地問題」の合格基準は各々平均点と標準偏差とを用いた相対基準を用いて設定され、さらに禁忌肢の選択状況を加味して合否が決定されます。

「必修問題」以外の「一般問題」の出題数を減じるに当たり、従前の通り「一般問題」と「臨床実地問題」の合格基準を各々で相対基準を用いて設定した場合、「一般問題」の信頼性が低くなる可能性があることから、「一般問題」と「臨床実地問題」を併せて相対基準を設定するなどの算出方法の見直しを行うべきであり、具体的な配点や合格基準については、継続的に妥当性を評価し、医道審議会医師分科会において検討を行う必要がある、としています。

 

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000079679.html