日本医師会は、6月1日、「消費税率の引き上げ再延期」についてプレスリリースを出しました。
内容は次の通りです。
本日、安倍内閣総理大臣が記者会見を行い、来年4月に予定されている消費税率10%への引き上げは2019年10月まで2年半再延期する旨が表明されました。
日本医師会はこれまで、消費税増収分を社会保障財源に充てることは「社会保障と税の一体改革」での国民との約束であり、その約束はきちんと守るべきであると繰り返し主張してまいりました。社会保障の財源不足により、地域で必要かつ十分な医療・介護サービスが受けられなくなると、最も不利益を被るのは地域の住民です。
消費税収を充てるべき経費が高齢者3経費から社会保障4経費になっており、現在問題となっている待機児童への対策など、少子化対策の財源もますます必要ですが、限りある財源の中、社会保障における医療費の割合が相対的に縮小しています。
前回の消費税率引き上げ後に消費が落ち込みましたが、今回も消費税率を引き上げれば再び同じ状況になることを危惧されたことは理解できます。しかし、先述のように社会保障の充実は現在の日本にとって必要不可欠であるにも関わらす、今回消費税率の引き上げが再延期されたことは遺憾です。消費税に代わる社会保障財源を別途しっかりと確保すべきです。
団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて、地域包括ケアシステムを構築できるよう医療提供体制の改革を進めており、社会保障の削減により、その歩みを止めてはなりません。
安倍政権が掲げる「経済の好循環」を実現し、そこでの税収増を、特に医療や介護の充実にあてるべきです。社会保障と経済は相互作用の関係にあります。子育てや老後に不安を抱える多くの国民に安心を示すことこそ、経済成長を取り戻すための出発点です。
また、今回、消費税率の引き上げは見送られましたが、医療に係る消費税については、平成29年度税制改正に際し、仕入税額控除または還付が可能な税制上の措置を講ずるととともに、必要な財源措置をすべきです。
持続可能な社会保障のために、我々医療側からも、国民皆保険を堅持していくため、生涯保健事業の体系化による健康寿命の延伸などに取り組み、結果として過不足ない医療提供ができるよう、日本医師会は今後も引き続き提言してまいります。
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