日本医師会・日本薬剤師会・日本製薬工業協会・ささえあい医療人権センターCOML・くすりの適正使用協議会・日本医学ジャーナリスト協会は、3月28日、「健康や医療・医薬品に関する情報を正しく理解していただくために」と題する共同ステートメントを発表しました。
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今日、私達は大量に供給される膨大な情報の中で生きています。その中から、一人ひとりにとって本当に役に立つ正しい情報を見いだし、活用していくことは簡単ではありません。
特に、健康や医療・医薬品に関する情報を、正確に理解するためには、どうしても関連する領域の基礎的な知識や、専門家のアドバイスが必要となります。一般の人々にとって、正しい情報を見極め、選択することは、大変難しいことです。
医療には、どうしても不確実な部分が伴います。また、医薬品は、どんなに優れた医薬品であっても常に副作用のリスクが存在します。そのような医療や医薬品の限界の中で、医療専門家は、患者さんの最大の利益を考え、患者さんと共に努力しています。
ここ数年のことですが、リスクやベネフィットの過剰表現、科学的根拠に基づかない情報を度々目にするようになりました。最適な医療は一人ひとり異なるにかかわらず、様々な媒体で「この医薬品は服用すべきではない」、「やってはいけない手術」など、あたかも一般化できる事実であるかのような、暫定的な表現がなされています
患者の皆さんに一日でも早く健康を取り戻して欲しいと願い、日頃の業務や活動に専念する私達は、このような現状に大きな懸念と危惧を抱いています。すなわち、患者さんの疾病は一人ひとり全て異なるため、性別・年齢、病気の程度、原因、環境や既往歴などを考慮し、患者さんの訴えを十分に伺いながら話し合い、医師、薬剤師をはじめ医療に携わる者全体が連携して治療に取り組んでいるのです。
このような医療専門家の努力が、仮にこの医療の「個別性」を考慮しない情報や、極端に単純化された表現によって損なわれることがあれば、それは全く残念なことであります。また、患者の皆さんにとっても、失うところが大きいのではないかと考えます。
私達は、その立場や取り組み方こそ異なるものの、世界医師会のヘルシンキ宣言にある「医師は、医療の提供に際して、患者の最善の利益のために行動すべきである」とする原理を実践し、または、共鳴する者から成り立っています。私達6団体は、今、患者さんのために何が出来るかを考え、ここに宣言と呼びかけを行います。
【宣言と呼びかけ】
① 私達は、医療・医薬品に関する基礎知識の普及啓発を図ってまいります
② 私達は、医療・医薬品に関する関係者間の共通認識の醸成に取り組みます
③ 私達は、専門家の活用をお奨めします