新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会報告書で見解表明 日本医師会

日本医師会は、4月6日、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会報告書」について見解を表明しました。

 

本日、標記検討会報告書がまとめられ公表されました。

同検討会は、厚生労働大臣の検討会として、昨年10月に発足し非公開で開催され、また、同検討会の設置により、関係する政府審議会等の審議が事実上中断されました。

日本医師会としては、優先して検討すべき医師の地域偏在等の対策立案が遅れることを回避するため、関係審議会の早急なる再開を求めてまいりました。

医師の地域偏在対策は、これ以上の医師養成数増で対応すべきではなく、その意味では本報告書において「敢えて医師数を増やす必要がない環境を作り上げていくことが重要」という点は、方法論は別として、本会の意見と同じです。

本報告書には「関係審議会等でこの提言に基づいた検討が行われ、実現の見通しが明らかにされるべきである。」としています。そのうえで、医師偏在対策については、医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会において、具体化に向けた検討を行うと記載していることは、議論の再開に向け一歩を踏み出したものと考えますが、同分科会の中で、現状を踏まえた適切な議論が行われることが重要であると認識しています。

また、本報告書に示す、医療従事者の業務の生産性向上、従事者間の業務分担と協働の最適化の重要性は当然ですが、その具体策として示される、診療看護師(仮称)やフィジシャン・アシスタントの活用を含むタスク・シフティング、タスク・シェアリングについては、医療安全や医療の質の向上の視点に立ち十分かつ慎重に議論することが必要と考えます。

専門家の養成については、今後も地域医療に影響を及ぼさないよう配慮し運用していくべきことは言うまでもありませんが、日本専門医機構が広く関係者の意見を集約しつつある状況も踏まえ、標榜との関係も含めプロフェッショナル・オートノミーに基づき適切に運用していくことが肝要と考えますし、日本医師会としても引き続き積極的に関与していく所存です。

プライマリ・ケアの充実については、地域包括ケアにおいても重要な視点と考えますが、その中心となるのは地域のかかりつけ医であり、かかりつけ医が果たしている医療的機能だけでなく、社会的機能がさらに発揮され、また、外来医療への患者のアクセスが十分確保されるようにすることが必要です。さらに、他の医療関係職種、介護・福祉関係職種等との多職種協働や有機的連携が優先されるべきと考えます。

報告に示す諸種の取り組みに対して、診療報酬や介護報酬等による誘導や、その支払い方式にまで言及する記載がありますが、これらが必ずしも適切な方策とは考えません。診療報酬鵜や介護報酬は医療行為や介護サービスの対価であり、本来、中医協、社会保障審議会介護給付費分科会等において適切な財源配分を含め議論することが重要です。

日本医師会としては、関係する政府審議会等の場で、今後の社会の変動に対応できる実効性のある具体的対策が立案されるよう、全力を傾聴していく所存です。

 

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