日本医師会は、4月12日、記者会見で「医師の団体の在り方検討委員会」の報告を公表しました。
医師の偏在解消に向けて早急な対策が求められるなか、国主体で議論が先行することへの危惧や、医師自らが問題解決に取り組むという強い意思表示を求める声が医療界の中から高まってきたことから、日本医師会医師の在り方検討委員会では、医師の自主性と自律性を発揮しながら医師の地域偏在と診療科偏在を含む医療における様々な問題をどのように解決するのか、そのためにはどのような医師の団体の在り方が必要かについて、平成28年10月31日開催の初会合以降合計4回にわたって議論を行いました。
医療を取り巻く課題については、医師が現場の声を汲み取りながら、その解決に向けた議論をリードしていく必要があるという認識の下、とりわけ医師の偏在解消に向けた国等での議論の状況等を踏まえたうえで、現時点で得られた委員会としての提言を取りまとめました。
<提言>
(1) 職業選択の自由の下、医師が自由に診療科や診療場所を選べることは尊重されるべきであるが、公的医療保険制度においては、医師は職責の重さを認識したうえで、自主的・自律的に何らかの適切な仕組みをつくり、医師の偏在の解消を実現していくことが必要である。
(2) (1)の仕組みをつくり運営していくため、また、国民の医療に対する期待に応えていくためにも、行政から独立した、医師全員が加盟する団体が必要である。
(3) 医師の地域偏在解消にあたっては、地域の医療事情に応じた対応が求められる。医師の団体が、大学などの関係機関との協働や行政との連携、さらには国民や若い世代の医師等も含めた討議を通じて、全国的な視野に立ちつつ、都道府県を単位とする仕組みの構築を推進していく重要である。
(4) 現在、進められている新たな専門医の仕組みは、医師の診療科の偏在の問題に重大な影響を与える。日本医師会は、診療科偏在解消に向けて、日本専門医機構が長期ビジョンに基づく適切な専門医制度を運営するよう、さらなる関与を強めていくことが必要である。
委員会の議論の中では、医師の地域偏在と診療科偏在の解消に向けて、すでに各地域で行われている取り組みについても報告が行われ、地域医療を担い、地域の実情を知る医師らによるそれらの取り組みが今後も効果的に実践されることが望まれること、こうした既存の取り組みの成果を検証し、改善したものを積み上げ、全国的な仕組みの形成を目指すことが医師による自主性・自律性を保ちながらの新たな仕組みつくりに繋がることを指摘しています。
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