厚生労働省は、8月1日、「医療機関における外国人旅行者及び在留外国人受入れ体制等の実態調査」結果を発表しました。
近年、在留外国人や訪日外国人が増加している現状や「未来投資戦略 2017 (平成 29 年6月9日閣議決定)」などを受けて、外国人が安心・安全に日本の医療サービスを受けられる体制を充実させていくことが求められています。今回の調査では、外国人患者受入れ体制を整備していくにあたって基礎となる資料を得ることを目的に、医療機関、自治体、医療通訳サービス提供事業者を対象として、外国人患者受入れの状況や、医療通訳の養成・研修の実施状況などについてアンケートを実施し、とりまとめました。
厚生労働省では、この結果を踏まえ、外国人患者受入れ体制の整備を今後さらに促進していきます。
調査は、平成28年10月1日時点の状況、もしくは外国人患者受入れの状況等については平成27年度の実績で、調査期間は平成28年10月10日から12月12日です。
調査対象及び回収率は、
① 医療機関:救急告示病院と平成27年度に「訪日外国人旅行者受入医療機関」として観光庁により選定された病院(両方に該当する場合は一病院に対して調査票一部)。回収率45.5%(対象数3,761、回収数1,710)
② 自治体:都道府県と政令指定都市、中核市、在留外国人・外国人旅行者数の多い区市町村。回収率83.2%(対象数226、回収数188)
③ 医療通訳サービス提供事業者:委託業者によりインターネットで情報収集し抽出した事業者。回収率58.8%(対象数80、回収数47)
【医療機関調査】
<外国人患者受入れの状況>
Ⓐ外来では79.7%、入院では58.5%の医療機関で外国人患者の受入れ実績がある。
Ⓑ外来での外国人患者の受入れがある医療機関において、半数以上が年間20名以下の受入れであった。他方で、年間1,001名以上の受け入れがあった医療機関は5.7%となっている。
<医療通訳の利用>
Ⓐ医療通訳(電話通訳を含む)を利用した経験がある医療機関は12.7%。
Ⓑそのうち、85.3%が利用して「概ねよかった」と回答。その理由として、「職員の負担の軽減、時間の削減が図られた」「トラブルが未然に防げた」などが挙げられた。
<日本語でのコミュニケーションが難しい外国人患者への対応>
Ⓐ外国人患者の受入れ実績があった医療機関のうち、日本語でのコミュニケーションが難しい患者を受け入れたのは65.3%。
Ⓑ上記外国人患者に対して、「英語」で対応した医療機関は56.8%で最も割合が高い。次いで中国語が26.6%、日本語が26.0%。
【自治体調査】
<外国人患者受入れ体制の状況>
Ⓐ外国人患者受け入れ可能な医療機関の数や医療設備面に「不足はない」と考えている自治体は1.6%、「拡充が必要」と考えているのは14.4%。「把握していない」は83.0%で最も割合が高い。
Ⓑ医療通訳者等の人員面についても同様に、「不足はない」と考えているのは1.1%、「拡充が必要」と考えているのは13.3%。「把握していない」は84.6%で最も割合が高い。
【医療通訳サービス提供事業者調査】
<現在の医療通訳の状況>
Ⓐ回答事業者における医療通訳として登録されている人数の合計は約2,400名。(ただし、複数の事業者に重複して登録されている場合あり)
Ⓑ医療通訳の問題点について、「医療通訳の担い手となる人員の確保」を問題点として捉えている事業者が55.3%。「医療機関等の医療通訳に関する知識・理解」を問題点として捉えている事業者が48.9%。
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