新たな専門医の仕組みについて見解を表明 日本医師会

日本医師会は、8月3日に緊急記者会見を開催し、新たな専門医の仕組みについて見解を表明しました。

<新たな専門医の仕組みについて>

8月2日、塩崎恭久厚生労働大臣と日本専門医機構吉村博邦理事長との面談が行われました。

その際、厚生労働大臣談話のなかで、新たな仕組みにおいては、地域医療への悪影響が生じるのではないかなどの懸念を完全に払拭するには至っていないとし、日本専門医機構、各学会にさらなる協力を求めています。

昨年6月、日本医師会は四病院団体協議会とともに、新たな仕組みが医師の地域偏在など地域医療全体への影響を及ぼすことへの懸念を表明しました。

このような状況を受け、同年7月に新たな体制で再スタートを切った日本専門医機構は、新制度開始の延期を決定し、その後も医師の偏在助長を回避すべく、11月に日本医師会が提出した7つの要望項目を新整備指針に盛り込むなど、真摯に対応してきたと認識しております。また、各領域学会も、新たな仕組みの柱でもある専門医の質の向上に努めるとともに、偏在助長の回避、医師のキャリア・パスへの配慮など、懸命な努力を重ねております。

日本専門医機構の「専門医制度新整備指針」においては、制度確立の理念を「①プロフェッショナル・オートノミーに基づいた専門医の質を保証・維持できる制度であること、②国民に信頼され、受診にあたり良い指標となる制度であること、③専門医の資格が国民に広く認知される制度であること、④医師の地域偏在等を助長することがないよう、地域医療に十分配慮した制度であること」と規定しています。

日本医師会としても、地域医療提供体制の確保は最重要課題と位置付けており、今回の談話において、医療法に規定する国の責務として、厚生労働省が地域医療への配慮を求めること自体は理解するものであります。

しかし、新たな専門医の仕組みは、法的な強制力を持つものではなく、医師の自律的な取組みを学問的に評価するものであり、新整備指針の基本理念にあるように、プロフェッショナル・オートノミーに基づき運用されるべきものであることは論を俟ちません。

したがって、国の関与についてあくまで謙抑的であることが望ましく、日本専門医機構が自らガバナンスを強化しつつ、両者の協力・連携のもと、関係者の意見を調整しながら、専門医養成の仕組みが適切かつ円滑に運用されていくことがもっとも重要であると考えます。

いま、若い医師たちが、新たな専門医の仕組みの先行きに不安を抱えているなか、日本専門医機構におかれては、その不安を払拭するためにも、平成30年度の新たな仕組みの運用開始を見据え、着実に準備を進めることが必要です。

日本医師会といたしましても、今後とも日本専門医機構を支援し、わが国における専門医養成が医師の資質向上に寄与し、地域医療に十分に配慮した仕組みとなるよう積極的に協力していく所存です。

 

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