受動喫煙防止対策強化・実現のための署名を展開 日本医師会

日本医師会は、5月10日、「受動喫煙の防止対策を強化・実現するための署名」の展開を発表しました。

横倉義武会長名で出された趣意書は次の通りです。

 

2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会の開催にあたり、国際オリンピック委員会(IOC)から「たばこのないオリンピック」の実現が求められています。わが国は世界に向け、たばこ対策に抜本的に取り組む姿勢を示す必要があります。

なかでも、わが国の受動喫煙による健康被害への対策は、世界保健機関(WHO)から「世界最低レベル」に分類されており、少なくとも年間1万5千人が受動喫煙を受けなければ、がん等で死亡せずに済んだと推計されています。

このような状況を考えれば、屋内における喫煙は単なるマナー嗜好の問題ではなく、国民の健康被害の問題として捉えなければなりません。

非喫煙者、とくに働く若い人を受動喫煙による健康被害から完全に守るためには、日本全体で屋内100%全面禁煙とする国際水準の受動喫煙防止法や条例の制定が不可欠であります。

われわれ医師会は、「国民の健康を守る専門家集団」として、国民の健康を第一に考え、例外規定や特例を設けることなく受動喫煙の防止対策を強化・実現するための署名活動を行うことといたしました。

国民の皆様にも広くこの活動の趣旨をご理解いただき、ひとりでも多くの方にご署名賜り、国への働きかけの力とさせていただきたいと存じます。

 

http://www.med.or.jp/

がん患者と家族に対する緩和ケア提供の現況調査結果を公表 厚生労働省

厚生労働省は、4月25日、「がん患者と家族に対する緩和ケア提供の現況に関する調査」の結果を公表しました。

終末期に限らず、がんなどと診断された時から患者と家族のあらゆる苦痛を和らげ、生活の質を向上させるための「緩和ケア」を提供する病院について、調査結果を取りまとめたものです。

今回の調査は、効果的な取り組みを自治体や医療機関などに情報提供することを目的に、「地域がん診療連携拠点病院」の中で、緩和ケアを提供する体制に工夫がされている5つの病院を対象として実施したものです。

地域がん診療連携拠点病院は、二次医療圏内において、全国で等しく専門的な質の高いがん医療を提供するため、がん診療の連携体制構築や患者と家族の相談支援を実施、がんの診療体制や診療実績などの要件に基づき、全国で348の病院(平成29年4月1日現在)が指定されています。

今回対象となった5つの病院は、日本海総合病院(山形県酒田市)、川崎市立井田病院(神奈川県川崎市)、聖隷三方原病院(静岡県浜松市)、市立豊中病院(大阪府豊中市)、松江市立病院(島根県松江市)です。

【調査結果のポイント】

1. 患者の各状況(診断・通院・入院・退院・在宅療養時)に応じた支援体制を構築

・「がん看護外来」-告知を受けた早期から専門知識を持つ看護師が相談対応

・「緩和ケア外来」-化学療法など積極的治療の段階から痛みを緩和

・「緩和ケアチーム」-患者と家族の心身の苦痛に多職種が対応

・「緩和ケア病棟」-患者が自分らしく過ごせるよう環境に配慮

・「在宅ケア体制」-退院後に在宅で療養する患者を緩和ケア医師が訪問診療

2.「がん相談支援センター」において各種の取り組みを実施

治療・療養、経済面、就労などに関する患者と家族の悩みに相談員が無料で対応

・「がんサロン」「患者会」-がんの患者と家族が情報交換し気持ちを共有

・「アピアランスケア」-がんの治療に伴う外見の変化への悩みに対応

厚生労働省では、今回の報告書は事務連絡やホームページへの掲載を行い、がん対策を推進する自治体や医療関係者などへ情報提供します。また、こうした情報提供を通じて、緩和ケアが「よりよく生きるひとつの方法」との理解が国民に広まることを期待しています。

 

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000162621.html

医師の団体の在り方で報告書 日本医師会検討委員会

日本医師会は、4月12日、記者会見で「医師の団体の在り方検討委員会」の報告を公表しました。

医師の偏在解消に向けて早急な対策が求められるなか、国主体で議論が先行することへの危惧や、医師自らが問題解決に取り組むという強い意思表示を求める声が医療界の中から高まってきたことから、日本医師会医師の在り方検討委員会では、医師の自主性と自律性を発揮しながら医師の地域偏在と診療科偏在を含む医療における様々な問題をどのように解決するのか、そのためにはどのような医師の団体の在り方が必要かについて、平成28年10月31日開催の初会合以降合計4回にわたって議論を行いました。

医療を取り巻く課題については、医師が現場の声を汲み取りながら、その解決に向けた議論をリードしていく必要があるという認識の下、とりわけ医師の偏在解消に向けた国等での議論の状況等を踏まえたうえで、現時点で得られた委員会としての提言を取りまとめました。

<提言>

(1)     職業選択の自由の下、医師が自由に診療科や診療場所を選べることは尊重されるべきであるが、公的医療保険制度においては、医師は職責の重さを認識したうえで、自主的・自律的に何らかの適切な仕組みをつくり、医師の偏在の解消を実現していくことが必要である。

(2)     (1)の仕組みをつくり運営していくため、また、国民の医療に対する期待に応えていくためにも、行政から独立した、医師全員が加盟する団体が必要である。

(3)     医師の地域偏在解消にあたっては、地域の医療事情に応じた対応が求められる。医師の団体が、大学などの関係機関との協働や行政との連携、さらには国民や若い世代の医師等も含めた討議を通じて、全国的な視野に立ちつつ、都道府県を単位とする仕組みの構築を推進していく重要である。

(4)     現在、進められている新たな専門医の仕組みは、医師の診療科の偏在の問題に重大な影響を与える。日本医師会は、診療科偏在解消に向けて、日本専門医機構が長期ビジョンに基づく適切な専門医制度を運営するよう、さらなる関与を強めていくことが必要である。

委員会の議論の中では、医師の地域偏在と診療科偏在の解消に向けて、すでに各地域で行われている取り組みについても報告が行われ、地域医療を担い、地域の実情を知る医師らによるそれらの取り組みが今後も効果的に実践されることが望まれること、こうした既存の取り組みの成果を検証し、改善したものを積み上げ、全国的な仕組みの形成を目指すことが医師による自主性・自律性を保ちながらの新たな仕組みつくりに繋がることを指摘しています。

 

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新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会報告書で見解表明 日本医師会

日本医師会は、4月6日、「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会報告書」について見解を表明しました。

 

本日、標記検討会報告書がまとめられ公表されました。

同検討会は、厚生労働大臣の検討会として、昨年10月に発足し非公開で開催され、また、同検討会の設置により、関係する政府審議会等の審議が事実上中断されました。

日本医師会としては、優先して検討すべき医師の地域偏在等の対策立案が遅れることを回避するため、関係審議会の早急なる再開を求めてまいりました。

医師の地域偏在対策は、これ以上の医師養成数増で対応すべきではなく、その意味では本報告書において「敢えて医師数を増やす必要がない環境を作り上げていくことが重要」という点は、方法論は別として、本会の意見と同じです。

本報告書には「関係審議会等でこの提言に基づいた検討が行われ、実現の見通しが明らかにされるべきである。」としています。そのうえで、医師偏在対策については、医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会において、具体化に向けた検討を行うと記載していることは、議論の再開に向け一歩を踏み出したものと考えますが、同分科会の中で、現状を踏まえた適切な議論が行われることが重要であると認識しています。

また、本報告書に示す、医療従事者の業務の生産性向上、従事者間の業務分担と協働の最適化の重要性は当然ですが、その具体策として示される、診療看護師(仮称)やフィジシャン・アシスタントの活用を含むタスク・シフティング、タスク・シェアリングについては、医療安全や医療の質の向上の視点に立ち十分かつ慎重に議論することが必要と考えます。

専門家の養成については、今後も地域医療に影響を及ぼさないよう配慮し運用していくべきことは言うまでもありませんが、日本専門医機構が広く関係者の意見を集約しつつある状況も踏まえ、標榜との関係も含めプロフェッショナル・オートノミーに基づき適切に運用していくことが肝要と考えますし、日本医師会としても引き続き積極的に関与していく所存です。

プライマリ・ケアの充実については、地域包括ケアにおいても重要な視点と考えますが、その中心となるのは地域のかかりつけ医であり、かかりつけ医が果たしている医療的機能だけでなく、社会的機能がさらに発揮され、また、外来医療への患者のアクセスが十分確保されるようにすることが必要です。さらに、他の医療関係職種、介護・福祉関係職種等との多職種協働や有機的連携が優先されるべきと考えます。

報告に示す諸種の取り組みに対して、診療報酬や介護報酬等による誘導や、その支払い方式にまで言及する記載がありますが、これらが必ずしも適切な方策とは考えません。診療報酬鵜や介護報酬は医療行為や介護サービスの対価であり、本来、中医協、社会保障審議会介護給付費分科会等において適切な財源配分を含め議論することが重要です。

日本医師会としては、関係する政府審議会等の場で、今後の社会の変動に対応できる実効性のある具体的対策が立案されるよう、全力を傾聴していく所存です。

 

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保健師・助産師・看護師の国家試験合格発表 厚生労働省

厚生労働省は、2月16日、17日及び19日に実施した第103回保健師国家試験、第100回助産師国家試験、第106回看護師国家試験の合格発表を行いました。

 

◇第103回保健師国家試験:出願者数8,294人(うち新卒者7,632人)、受験者数8,207人(新卒者7,590人)、合格者数7,450人(新卒者7,172人)、合格率90.8%(新卒者94.5%)

◇第100回助産師国家試験:出願者数2,064人(うち新卒者2,055人)、受験者数2,053人(新卒者2,044人)、合格者数1,909人(新卒者1,904人)、合格率93.0%(新卒者93.2%)

◇第106回看護師国家試験:出願者数63,043人(うち新卒者56,706人)、受験者数62,534人(新卒者56,381人)、合格者数55,367人(新卒者53,177人)、合格率88.5%(新卒者94.3%)

 

◇第103回保健師国家試験の合格基準:一般問題を1問1点(73点満点)、状況設定問題を1問2点(68点満点)とし、総得点85点以上/141点。但し、一部の問題において採点対象から除外された受験者にあっては、総得点84点以上/140点となる。

◇第100回助産師国家試験の合格基準:一般問題を1問1点(75点満点)、状況設定問題を1問2点(70点満点)とし、総得点87点以上/145点。

◇第106回看護師国家試験の合格基準:必修問題及び一般問題を1問1点、状況設定問題を1問2点とし、(1)(2)の全てを満たす者。(1)必修問題40点以上/50点。但し、必修問題の一部を採点対象から除外された受験者にあっては、必修問題の得点について40点以上/49点又は39点以上/48点となる。(2)一般問題・状況設定問題142点以上248点。

 

http://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/goukaku.html