800名が参加し国民医療を守る総決起大会 決議を採択 国民医療推進協議会

国民医療推進協議会主催の「国民医療を守るための総決起大会」は、11月22日に東京・憲政記念館講堂で開催され、800名が参加。趣旨説明や決意表明に続いて、国民に将来の安心を約束する持続可能な社会保障制度の確立を求める決議が満場一致で採択されました。

国民医療協議会は、平成16年10月、「国民の健康の増進と福祉の向上を図るため、医療・介護・保健及び福祉行政の拡充強化を目指し、積極的に諸活動を推進する」ことを目的に、日本医師会が各医療関係者団体等に呼びかけ、発足しました。これまでの活動としては、国民皆保険制度を守るための活動や禁煙推進活動などを行ってきました。現在40団体が参加しています。

今回の総決起大会は、日本医師会による趣旨説明、日本歯科医師会会長・日本薬剤師会会長・日本看護協会会長による決意表明があり、次の決議が採択されました。

<決議>

世界に類を見ない少子高齢社会において、国民が生涯にわたり健やかでいきいきと活躍し続ける社会を実現していくためには、持続可能な社会保障制度の確立が不可欠である。

よって、本大会参加者全員の総意として、次のとおり要望する。

一、国民が将来にわたり必要な医療・介護を安心して充分に受けられるための適切な財源の確保

一、国民と医療機関等に不合理な負担を強いている医療等に係る消費税問題の抜本的な解決

以上、決議する。

 

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第1回日本医療研究開発大賞受賞者を公表 内閣官房健康・医療戦略室

内閣官房健康・医療戦略室は、11月17日、第1回日本医療研究開発大賞の受賞者を公表しました。

わが国のみならず世界の医療の発展に向けて、医療分野の研究開発の推進に多大な貢献をした事例に関して、功績を称えることにより、国民の関心と理解を深めるとともに、研究者等のインセンティブを高めることを目的とするもので、大賞は健康・医療戦略推進本部長(内閣総理大臣)賞1件、健康・医療戦略推進副本部長(健康・医療戦略担当大臣)賞1件、文部科学大臣賞・厚生労働大臣賞・経済産業大臣賞各1件、日本医療研究開発機構(AMED)理事長賞数件です。

12月13日15時40分~15時55分に総理大臣官邸で表彰式が行われ、11月25日14時~16時には東京国際交流館(お台場)で記念講演会が行われます。

健康・医療戦略推進本部長(内閣総理大臣)賞:東京都医学総合研究所理事長田中啓二(プロテアソームの構造と機能の解明)

健康・医療戦略推進副本部長(健康・医療戦略担当大臣):大塚製薬株式会社(多剤耐性肺結核治療薬デラマミドの開発)

文部科学大臣賞:九州大学大学院農学研究院教授石野良純(CRISPR配列の発見)

厚生労働大臣賞:東芝メディカルシステムズ株式会社、藤田保健衛生大学医学部名誉教授片田和広、公益財団法人医用原子力技術研究振興財団常務理事遠藤真広(4次元X線CT装置の開発)

経済産業大臣賞:東京女子医科大学先端生命医科学研究所、早稲田大学先端生命医科学センター(「東京医科大学・早稲田大学連携先端生命医科学研究教育施設(TWIns)」等における医工連携を担う人材育成拠点の形成)

日本医療研究開発機構(AMED)理事長賞:東京大学大学院理学系研究科助教西増弘志(ゲノム編集ツールCRISPR-Cas9の作動機構の解明及び新規ツールの創出・実用化)、神戸大学大学院理学研究科准教授木村建次郎(次世代乳癌スクリーニングのためのマイクロ波散乱場断層イメージングシステムの開発)、横浜市立大学大学院医学研究科準教授武部貴則(ヒトのミニ臓器を創出する革新手法の開発)、九州大学大学院医学研究院准教授樋口隆生(抗ウイルス薬及びワクチン開発に繋がるウイルス・受容体・抗体の構造基盤解明)

 

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/suisin/pdf/h29_iryoukenkyu_taishou.pdf

ほっかいどう宣言を採択 全国医師会勤務医部会連絡協議会

平成29年度全国医師会勤務医部会連絡協議会は、10月21日に北海道・札幌グランドホテルで開催され、『地域社会をつなぐ明日の医療を考えるとき-次世代を担う勤務医の未来創世のために-』をメインテーマとして特別講演やシンポジウムなどが行われ、「ほっかいどう宣言」が採択されました。

<ほっかいどう宣言>

今日のわが国の急速な人口減少は、著しい生産年齢人口の減少を伴いながら、少子高齢化が進展する人口構成の変化であり、労働生産性向上のための抜本的な「働き方改革」の重要性が強調されている。しかしながら、公益性、倫理性、専門性が強く求められる医師は、患者・社会に貢献する職業人として、高度な学識と技能をもち続けなければならず、その改革には慎重な議論が必要である。

社会全体でワークライフバランスの改善に向けた取組みが推進される中、医療界も例外ではなく、勤務医が医師としてのモチベーションを保ち、地域医療を発展させ、自らの人生も豊かにすべく、次のとおり宣言する。

一、医師の働き方改革の議論が、地域医療を守り、地域格差是正につながる仕組みの構築の上になされることを求める。

一、勤務医が多様な働き方を選択・実現できるよう、世代間ギャップを相互に理解し、就労環境を改善する。

一、医師としての自らの職務を自覚し、いきがいを感じながら働き続けられる環境の整備に努める。

 

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リクシアナ錠とリフキシマ錠の取り違えで注意喚起 第一三共とあすか製薬

独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、10月25日、「製薬企業からの医薬品の安全使用(取り違え等)に関するお知らせ」に「リクシアナ錠とリフキシマ錠の販売名類似による取り違え注意」を掲載しました。

このサイトでは、医薬品の製造販売業者等が医療機関向けに発信している、医薬品取り違え等の安全使用に関する情報を紹介しています。

「「リクシアナ錠」と「リフキシマ錠」の販売名類似による取り違え注意のお願い」は、第一三共とあすか製薬の連名で出されているもので、次の通り株式会社要請するとともに、写真付きで両製品を紹介しています。

 

第一三共株式会社製品「リクシアナ錠(一般名:エドキサバントシル酸塩水和物):経口FXa阻害剤(抗凝固剤)」と、あすか製薬株式会社製品「リフキシマ錠」(一般名:リファキシミン):難吸収性リファマイシン系抗菌薬(肝性脳症における高アンモニア血症改善薬)」につきまして、販売名が類似していることから、誤った調剤による死亡例が報告されました。

「リクシアナ錠」または「リフキシマ錠」を処方・調剤いただく際には、今一度販売名、効能・効果および用法・用量をご確認いただき、また、処方時に薬剤オーダリングシステム等をご使用の場合は、販売名の前に薬効を記載する等の予防策を検討するなど、取り違え防止に一層のご配慮を賜りますよう、お願い申し上げます。

<事例>

リフキシマ錠を処方された肝性脳症の患者に、誤って抗凝固剤のリクシアナ錠が調剤されました。結果として、通常量を超えたリクシアナ錠が複数回投与され、消化管出血が発現し、死亡に至りました。

 

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女性医師の勤務環境の現況で報告書 日本医師会が公表

日本医師会は、9月20日、「女性医師の勤務環境の現況に関する調査報告書」を公表しました。

調査は、日本医師会の男女共同参画委員会と女性医師支援センターが実施したもので、女性医師の働き方、子育てとの両立等に関する現状を把握するため、病院に勤務する女性医師を対象として、2017年2月20日~3月31日、全国の病院を通じて調査票を配布し、郵送回収で調査を実施しました。有効回答者数は10,373人(病院勤務女性医師の25%)でした。

<結果の概要>

【回答者の属性】

● 勤務形態は、常勤が75%、時短常勤が3.2%、研修医が8.8%、非常勤13%であった。

● 所属病院の規模をみると、20歳代では8割、30歳では7割、40歳代で半数以上が400床以上の大規模機関に勤務しており、年齢階級が上がるにつれて小規模機関に分散していた。

【働き方の現状】

● 1週間の実勤務時間は、時短・非常勤を含めても40時間以内は3分の1にとどまり、概ね月超過勤務80-100時間が12%、概ね月超過勤務100時間以上が13%を占めた。

● 宿日直またはオンコール有は6割以上であった。年齢階級別にみると、29歳以下は9割以上が宿日直またはオンコール有、30歳代以降は割合は下がるが、50歳代でも5割を超えていた。

● 診療科の構成割合は「内科」が最も多く、次いで、「小児科」、「産婦人科」がそれぞれ約1割であったが、診療科は全域にわたっている。1週間の実勤務時間、宿日直、オンコールは診療科によって差異があった。

【子育てとの両立の現状】

● 小学生までの子どもがいる人を「子育て中」として、子育て中の人は3,896人38%を占め、8割以上が常勤または時短常勤であった。子育て中、夫と同居していない人が492人13%であった。

● 「普段子供の面倒をみている人」は、「本人のみ」か「本人と保育所等」との回答が最も多く、夫も普段面倒を見ていると答えたのは乳幼児子育て中の半数以下であった。夫の育児参加状況を「まったく協力しない」は子供が大きいほど、つまり以前の子育てほど割合が大きかった。

● 子どもの発熱など緊急時に自分が休暇を取って対応した割合は、現在乳幼児子育て中の常勤者では47%、経験者では32%であった。預け先として最も多かったのは「親・親族」で、「夫」の2-3倍に上っている。

● 病院からの緊急呼び出しは、「呼び出しなし」と「断るまたは他の医師に依頼する」を合わせ、現在乳幼児子育て中の常勤者では47%、時短常勤者、非常勤者では66%、経験者では28%であった。緊急呼び出し時の子どもの預け先は、夫が最も多かった。

● 仕事を続ける上で必要と思う制度や支援策としては、勤務環境の改善を回答者の96%が挙げ、次いで、子育て支援88%、復職支援を38%が挙げた。家庭・育児に関する悩みを71%が、医師としての悩みを64%が、職場における女性医師としての悩みを36%が挙げた。

日本医師会では、「職場の男女共同参画や育児支援への意識は高まっている一方、家庭内ではまだ女性医師だけへの負荷が大きいようにみえた。出産、育児を応援するのみならず、医師業務との両立、キャリア形成確保のための支援も重要である。本調査で明らかになった実態から、各地で様々に実施されている育児・介護支援、医療勤務環境改善、職場復帰支援等の事業を評価すること等によって、効果の高い支援策が展開されていくことを期待する」としています。

なお、今回の調査は、病院勤務医のみを対象としたため、基礎医学系・医療行政・診療所医師や産業医など、全女性医師の34%を占める病院勤務でない医師の状況は把握できていないため、今後、多様な働き方をしている女性医師の状況も把握するなどにより、幅広い選択肢を持つ支援策の展開が望まれる、としています。

 

http://www.med.or.jp/